職場での熱中症による死亡災害が3年連続で30人レベルと多発するなか、気候変動などにより熱中症のさらなる増加が懸念されています。
死亡に至るケースのほとんどが初期症状の放置、対応の遅れであることから、労働安全衛生規則の衛生基準の対象に「熱中症を生ずるおそれのある作業」が規定され、熱中症による健康障害の疑いがある者の早期発見や重篤化防止のための措置を講じることが事業者に義務付けられました。
今回の措置の対象となる「熱中症を生ずるおそれのある作業」とは、具体的には「WBGT(湿球黒球温度)28度または気温31度以上の作業場において行なわれる作業で、継続して1時間以上または1日当たり4時間を超えて行なわれることが見込まれるもの」とされています。
ただし、作業環境や着衣の状況等によっては、この要件に該当しない場合であっても熱中症のリスクが高まるため、該当する場合に準じた対応が推奨されています。
熱中症の重篤化を防ぐための対応の基本的な考え方は、「見つける→判断する→対処する」の3ステップです。ここで事業者に義務付けられるのは、「熱中症の自覚症状がある作業者」や「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」がその旨を報告するための体制整備および関係作業者への周知です。
報告を受けるだけでなく、職場巡視などにより、熱中症の症状がある作業者を積極的に把握するよう努めることが推奨されます。
また、熱中症のおそれがある労働者を把握した場合に、迅速かつ的確な判断が可能となるよう、
(1)事業場における緊急連絡網の作成、緊急搬送先の連絡先および所在地等の把握および周知
(2)作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送等熱中症による重篤化を防止するために必要な措置の実施手順の作成および関係作業者への周知
も行なわなければなりません。
本改正は令和7年6月1日から施行されます。
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック
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